糟屋館

糟屋館（かすややかた）
神奈川県伊勢原市上粕屋

--糟屋館比定地--

別名	上杉館
交通	小田急線「伊勢原駅」から徒歩40分。
築城年代	室町時代
築城者	扇谷上杉持朝か
形式
主な城主	扇谷上杉定正

室町時代、相模守護となった扇谷上杉持朝により築かれたと考えられる。1438年(永享10)鎌倉公方足利持氏と関東管領山内上杉憲実の対立に始まる永享の乱の際、持朝は憲実に従う。1455年(享徳4)持氏の子である成氏が将軍の命を受けた駿河国今川範忠に鎌倉を追われ、下総国古河へ移ると、これに対抗する為、太田道真・道灌に命じ、武蔵国江戸城・武蔵国岩槻城・武蔵国川越城を築かせ、自身も川越城に入り、本拠を移したという。持朝の跡を継いだ定正も川越城を本拠としたが、大庭城に居住した事もあり、糟屋館にもしばしば立ち寄っていたといわれる。
1486年(文明18)定正は太田道灌を糟屋館に招き、謀殺するが、以後扇谷上杉氏は衰退の一途を辿るようになる。これは対立していた山内上杉顕定が太田道灌の暗殺を謀り、謀反の讒言を定正に告げたからとも、また定正が太田道灌の主家を脅かすほどの力を恐れたからともいわれる。
その後北条氏が台頭すると、扇谷上杉氏は糟屋の地を離れ、糟屋館も廃されたと推定される。
扇谷上杉氏館跡の所在は不明であったが、産業能率大学校地付近に立原の地名が残されており、この地が館跡と考えられた。しかし校舎建設の際に行われた発掘調査では溝や建物跡が見つかったが、館としての明確な遺構は発見されず、現在は大学が建つ台地東側が館跡と推定されており、上糟屋神社との間の谷は空堀跡といわれている。太田道灌開基である洞昌院は敵に襲われた道灌が洞昌院まで逃げ延びたが、門が閉まっていた為に入れず、以来洞昌院には山門に扉を付けてはならないと語り継がれており、また道灌の遺体を荼毘に付した所とも伝わり、廟所や胴塚がある。
また近年では南東に位置する丸山城も有力な比定地とされている。


糟屋館比定地①	糟屋館比定地②	上糟屋神社・館跡比定地間空堀跡①


上糟屋神社・館跡比定地間空堀跡②	上糟屋神社	七人塚太田道灌の家臣七人の墓


太田道灌胴塚	洞昌院	太田道灌首塚

参考文献　「現地案内板」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「千葉・神奈川の城郭　新人物往来社」

訪城回数　2

2006年7月
2020年2月